私の中の眠れるワタシ
先生は、ああ、やっぱり。というある種安心したような表情をした。
「そうか、聞いてるのか。高田はあまり友人を作らないから、心配してたんだ。
誰か、一人でも、相談してる人がいたらいいなって。
俺達も、付き合って少し経っただろ?」
−−その、俺達って、誰とダレですか?
「高田は、絶対に家にも呼んでくれないし、最近は俺にもなんだか、冷たいんだ。
素っ気ないっていうか……
他に誰か好きな人でも、いるのかって考え出すと、確かめたくて、しょうがなくなる。
美月から、なにか聞いてないか?」
先生の唇から、美月という単語がでるの、初めて聞いたけど。
なんか、いいなって。
ボンヤリ思っていた。
「美月に、他に好きな人がいるかどうかって事を、ですか?」
私は、何を聞かれているのか。
なんで、私が聞かれているのか。
もう、自分の身体の中に、私という魂はいない。
魂というより、心がおかしくなって、もう一人、とても冷静で頭のいい、知らないワタシが先生と。
いた。