私の中の眠れるワタシ
先生は、自分の味方が増えたと勝手に思っていた。
ワタシは、この今の苦しみを忘れまいとして、何度も何度も、これまでの会話を思い出していた。
先生とワタシが交わした会話の一語一句を間違いなく。
今日の事を、今日の失恋までの成り行きを。
ワタシが、私を励まして、なんとか泣かずに家まで着くのが、やっとだった。
車を降りるとき、先生はワタシの事を、
「本当に長崎は、俺にとって特別な存在なんだ。
美月にとっても、そうだと思う。」
と言い、
「これからもあいつを、支えてあげてほしい。」
と、頼まれた。
−−センセイ、ソノオネガイハ、キケマセン。
「任せて下さいよ!先生こそ、あまり悩まないようにしてください。気をつけて。ありがとうございました。」
車のドアを思いきり、大きな音をたてて、閉めた。
車が、見えなくなっても、立ち尽くす。
今日こそ、夢であってほしい。