私の中の眠れるワタシ
罪と罰
人は時に、醜悪でおぞましいものより、美しく華麗なものに嫌悪する。
知らなかった?
ワタシは、知ってしまった。
本当に残酷なのは、誰もが触れられない、その人だけの強い輝き。
照らされて、照らされて、最後には枯れてしまうという事を、誰も教えてくれなかった。
目も、心も奪われているうちに、光合成を繰り返して、身体が茶色く変色している事。
ワタシを傷つける事はもうできない。
後は粉々になって、砕けちるだけ。
美月の部屋で香った、先生の車の中と同じ香りは、私をとうとう、粉々に砕いてしまった。
サヨナラ、先生。
ワタシは神様に、ラケットを捧げた。
家の前で、ラケットに灯油をまいて、火を点けた。