私の中の眠れるワタシ
真也が家の窓から顔をだす。
「おい!何してるんだよ!おまえおかしくなっちゃったのかよ!!」
慌てて、庭に飛び出してくる。
「おまえ、先生となにかあったのか?ちょっと最近、変だぞ。気持ち悪いぜ……。」
一生懸命、水をかけている。
ワタシはぼんやり見つめていた。
−−神様、ごめんなさい。ラケットを贈る事ができませんでした。
「俺、もう限界だわ。悪いけど、母さんに言うから。」
「何を。」
「手紙の事も、全部だよ。」
何故そうなってしまうの。ワタシは何にも悪くないのに。
「母さんに、相談しよう、な?きっとおまえの話、聞いてくれるって。」
「やめてよ!!」
真也は、ワタシの剣幕に飛び上がる。
「絶対に、嫌。絶対に、叱られる。やめてやめてやめて……」
ひざまずき繰り返すワタシを、真也はより一層不気味そうに見ていた。