私の中の眠れるワタシ

それが。

父の浮気から、母は変わった。
父が帰ってこなくなり、その寂しさからパチンコ屋に入り浸った。

たまに家で父と母が顔を合わせると、必ず最後は包丁が出てきて。

父の暴力に返り討ちにあい、父がいなくなった後には、

「オマエのせいで、離婚できないんだ!!どうしてくれるんだ。私の人生、返してくれ!!」

と、半狂乱になり私だけ殴られ続けた。


同じだった。

父を見ている目と、ワタシを見つめる目は同じものを見るように、汚い、汚いと罵った。

母は、ワタシが異性を意識し、恋をしたり憧れたりする事をことごとく阻止した。

鍵付きの日記をつければ、鍵を壊されて中身を読まれ、殴られた。

男の子から、転校の時にプレゼントをもらうたび、全て捨てられた。

その母にとって、今回の出来事は、最大の裏切り。



ワタシは殴られている間中、

「ごめんなさい、ごめんなさい、もうしません、ごめんなさい……」

と、繰り返した。
これは、一種の癖だ。



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