私の中の眠れるワタシ

授業が終わり、先生が保健室に顔を出したところから、ワタシの失踪騒動に発展していた。

学校に戻り、何食わぬ顔で二時間目の準備を始めていたワタシに、担任がすごい勢いで近寄ってくる。

「長崎!おまえ!今の時間、どこで何してた?!」

担任は女性だったが、まだ若く男っぽくサバサバしている人だった。

ワタシはこの担任が、嫌いではない。

生徒をヒイキするところから、あからさまに嫌う父兄も多かったが、ワタシはヒイキされる事で得をしていた。

学校が、居心地よいものに変わったのは、先生のおかげもある。

三者面談は、いつも最後にまわしてくれて、終わってから母と三人でご飯を食べに行った事もある。

とにかくいつも担任は、ワタシをベタ褒めだった。
母も悪い気はしない。

学校の帰りが遅くなっても、許されていたのはこの為だ。

数々の委員会に顔を出し、校内では有名人だと大袈裟なくらい、担任がアピールしてくれて、たとえ帰りが遅くても、学校のために頑張ってくれていますと、太鼓判を押してくれた。


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