私の中の眠れるワタシ

このブレスレットは、実家の近くの雑貨屋で購入した。

その日、ワタシはとても元気そうにしていた。

颯生も、

「今日はお金を使おう。形に残る物に。
形にならなくても、思い出になる事に使おう。
なんでも好きな物を選んで買おうよ。」

と言っているし、その言葉にある程度、元気で返してあげたかった。

そう振る舞う事で、意味のある時間にしたかった。

自分のよく知る街だし、このショッピングモールも、学生時代からよく来ていた。

いくつかの店舗は、入れ代わっているけど、その中にまた、新しく気に入る店も増えたりした。

ワタシは中国風の雑貨が多い店に入ると、すぐにアクセサリーコーナーを見つけ、千円もしないような安物のブレスレットを物色し始める。

ある程度太くなければ隠れない。

かといって、普段アクセサリーをあまり着けていないワタシに、不自然な程大きいバングルは、できない。

最近、三キロ痩せて、手首も、か細く木の枝のようだった。

どれを着けても、ちょっとの動きでブレスレットは肘の方へと、ずれる。
しかし、きついと痛い。

……ピッタリを探すというのは、こんなに難しいのか。



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