私の中の眠れるワタシ



浴室。


ワタシは、手首にT字のカミソリをあてる。

何度、刃をこすりつけても。
彼女のような華は、ワタシには咲かない。



ただ、ハラハラと小さな花びらが散り、私はワタシを追放するための『儀式』を行う。

静かな、だけどワタシの中に脈々とながれる赤い血を思い知らされる痛みを与え続ける事で。

『ワタシ』の痛みは『私』のものだったと。



ついに思い知るのだった。



< 171 / 433 >

この作品をシェア

pagetop