私の中の眠れるワタシ

断髪




夜の香り。

私は今日も、この時間から目が醒めてくる。

別に、夜、仕事をしているわけではない。

むしろ、朝早くから大学へ行き、しっかり授業を受け、夜遅くまで部活の練習に打ち込む。

中学時代の名残だろうか。
誰もが嫌がるような、過酷な練習や、ゴタゴタした人間関係が、大好きだった。



私は、中学時代の番手競争に明け暮れた日々を、忌ま忌ましく思い出す。

後衛で一番上手い子と、前衛で一番上手い子。

このペアで、オーダーをだす。

常に闘っていた。
部長として、恥をかかないように、誰もが納得する実力を身につける事。

本当は、上手も下手もない、ただ見る人の好き嫌いで勝負が決まるような事が、やりたかった。


そんな時に見つけたのは、ダンスだった。

センスなんて、あるかどうかわからない。

ただ、無心に打ち込める物が欲しかった。



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