私の中の眠れるワタシ

この大学にあるダンスは、社交ダンス部だけ。

……社交ダンス。

笑っちゃうな……。


半ば、馬鹿にしながら、部室のドアを叩いた事を覚えている。


−−あれから一年。

十八歳にもなって、また一から子供の扱いだった新入生の時期が終わる。

先輩は優しい。
でも、それだけ。

目が肥えてくると、誰が上手で誰が下手か、一目瞭然だった。


私は、競争が嫌でダンスを選んだが。

結局、待つのは実力の世界だった。

技術を持つ先輩は、多少のわがままもチヤホヤされ、下手な先輩は、後輩に都合がいいように甘えられてしまう。


二年生になったら、私はなんとしても上位に食い込めるパートナーが欲しかった。

部内はひそかに分裂していた。

技術の向上にひたすら終始する者。
仲間の和を選び、実力より強調性や楽しさを重視する者。

二年生になった頃には、訳もわからず飲み会に明け暮れた同期も、部活の方針に口をだすようになっていた。



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