私の中の眠れるワタシ

母はとうとう借金が父にばれて、パチンコ通いを止め、家にいるようになった。

しかし、父は私が大学に入学するのと同じ時期に、単身赴任でうちから車で五時間はかかる土地に、引越した。


父の過去の行いを、正しいとは思わない。
しかし、父に同情する面は多かった。

私が家に帰りづらいように、父もまた、相変わらず女性問題が尾を引き、単身赴任が決まった時、父は心底ホッとしていたようだった。

私は、父だけが唯一の味方だった。
昔から父親っ子だった私は、なにかと母の怒りを買っていたが、父がいれば、助け舟を出してもらえる事が、よくあった。


結果的に、そのせいで更に酷い目にあう事もあったが。

それでも、喜んで単身赴任の準備をする父が羨ましくて。
何度連れて行って欲しいと頼もうかと、迷った事か。

大学一年の頃は、新歓コンパに誘われても、まだ断る事ができた。

一年間は、参加自由だ。

しかし、二年生からは、ある種、部内の仕事だという風潮があった。

私の学年は、お酒が全く飲めない女子が多く、できれば全て参加してほしいと言われていた。



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