私の中の眠れるワタシ
食事をしても、おいしいと感想を述べたら、もうその後の言葉が続かなくなったりしていた。
テレビを見ていても、どこで笑うべきかわからなくなってしまったように、一人の時は全く笑わずに観ていた。
颯生と一緒の時は、颯生が笑ったところで、合わせて笑顔だけ作った。
でも、ほとんどボンヤリしてテレビの縁を見ている事が多かった。
焦点を合わせられないのだ。
テレビの向こうに、見るものがないから。
俯けば、手首と目が合う。
正確には、手首に目なんてないんだけど。
口は間違いなくあったから……
一人の時は、部屋で手首と交信する事が多くなっていった。
交信に、言葉はいらない。