私の中の眠れるワタシ
脱獄
部活では、新しい私の髪型が、注目を集めた。
「イメチェンですかぁ?春ですもんね!」
新しく増えた後輩達が、似合わないと言えないために、春だし、という言葉をよく使った。
以前から、私の家庭の状況をなんとなく察していた先輩達は、
「……大丈夫か?無理しちゃダメだぞ。その髪、早くまた伸びるといいな。」
と、声をかけてくる。
私は、元気よく笑い、
「大丈夫ですよー!ちょうどそろそろ、切ろうかなって思ってたから、いいタイミングでした!」
と、おどけた。
でも、心の中は、正直限界だった。
私が遅くなるたび、部活の親しい友達に、男女問わず電話をして、私の居場所を確認する母にウンザリしていた。
皆、昨日お母さんから電話あったぞ、と、翌日報告してくれるが。
迷惑そうな表情は、ありありと伝わった。
私は、その中で、よく母から電話がきている男友達に相談する。