私の中の眠れるワタシ
「よ、よし。わかった。
じゃ、今晩実行しよう。学校が終わったら、部室で待ち合わせて、おまえの家に行く。」
私はときめく。『実行』という言葉に。
「ホントにー!!ありがとう!!ずっと恩にきるね!」
三宅ちゃんは、渋々ではあったが、やはり相談して良かった。
今晩、とうとう、あの家を出る。
車に乗り込み、どのような手順でうちを出るか、頭の中で繰り返し練習した。
車の中では、三宅ちゃんが、
「お前、マジで親、敵にまわすのオレはオススメしないよ〜。」
と言いつつも、家までの道のりを飛ばしてくれた。
玄関のドアを静かに開ける。
母は台所にいるようだった。
こっそり二階に上がり、旅行用のカバンに、ありったけの服を詰め込む。
……いざとなると、必要な物なんて、限られてくるものだ。
割とあっさり、準備が終わった。
カバンを持つ手に、これほどまで、軽々と力が入る事に驚く。
私は、大きな荷物を持ち、ソロソロと階段を下りた。
ガタン!!
ツイてない。荷物を玄関にある靴箱にぶつけ、大きな音がした。