私の中の眠れるワタシ

「すごく、イイよ。触るとこ全部、キモチよくて……」

もう、彼の耳にはワタシの声が届いているかわからない。
もしかしたら逆に、ワタシの声しか聞こえていないのかも。

どんどん脱ぎ捨てたパジャマとワタシの服が、ベットの周りに散らかって、彼はワタシの胸に、顔を埋めた。


ワタシは、

「慌てないの。いっぱい、よくなろうよ。」

と、優しくなだめる。


もう一度、彼を下にして、

「ワタシにも、さがさせて。」

と、唇から首筋。少しずつ下半身までワタシが伝う頃には、堪えられなくなって吐息をもらす。

「……オレ、なんか、こういう感じ、はじめて。」

ワタシはなにも答えず、彼と繋いだ手を、にぎりしめた。




−−明け方まで。

ワタシ達は、彼がいってしまうギリギリで、愛し合う。

彼が最後に、恍惚の表情で

「好きだよ……。」

と、恥ずかしげもなく繰り返す頃。



ワタシは絶対、ワタシも、とは言わなかった。


ラジオのFMから細く流れている、MY LITTLE LOVERSの『DESTINY』が、少しずつワタシを眠りに誘う。

いつか、友達がカラオケで歌っていた。



……運命なんて、あるのかな。
ワタシと彼の今夜は、偶然としか、思えないのに。


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