私の中の眠れるワタシ
私には、踊るならこの人と、心に決めた相手がいた。
一度しか一緒に組んだ事はないけど、あんなに入りこめる相手はいなかった。
自分以上の実力がでる気がするなんて、そんなにある事ではない。
二年生の終わりから、四年生まで一緒に踊る事になるのだから、絶対に誰にも譲れなかった。
だけど、やはり。
そういう感覚は私だけのものではなかったらしい。
他にも数名、内心組みたいと思っている子が現れる。
この部活は不思議なもので、恋愛感情がないのに誰かを心に決めるという独特の性質から、好きな人の話をするより誰と組みたいかという事を口にするほうが、タブーな雰囲気があった。
踊りが上手なら誰でもいいというわけではなく、気が合うという事、それに踊りが合うという事も必要になってくるため、恋愛感情より複雑だった。
しかも、付き合っている者同士のカップルを組む事は認めないという部活内の方針で、好きな人とはまた別の誰かを探す。