私の中の眠れるワタシ
「オレ、あいつ苦手なんだよね……」
「ソウタの事?なんで?」
いつも、遠回しにそれを私に対してアピールしてきた彼だったが、今日はハッキリそう口にした。
「あんまりいい話、聞かないし。」
元々、悪口が嫌いな彼は要領を得ずに、ぼやけた事を言う。
「だから、なんで?」
「えっと、たとえば、女にだらし無いとか。」
「そんなの、踊る事に関係ないよ?だからなんなの?」
なんとかして、私の中のソウタのイメージを悪くしようと、根も葉も無い噂を持ち出す。
しばらくは、黙って聞くが……。
「あのさ。三宅ちゃん、ヤキモチ焼いてるんでしょ。」
「いや、あの、そういうわけじゃないけど、なんか、えっと」
「私が、ソウタと踊りたいと思う事がそんなに嫌?
踊ってるだけじゃないの。相手がいなきゃ、大会出られないでしょ。」
「うん、そうだけどなんか……」
私は彼に見えないようにため息をついてから、彼のほうに振り返り微笑む。
「三宅ちゃん、これから二人の時は、名前で呼んじゃおっかなー。」
「え?え?」
照れて、赤くなっていく。