私の中の眠れるワタシ
「ね、わかるでしょ?特別なんだよ、イチヤの事は。」
私はそっと、ベットに押し倒す。
彼は、女の子のようにしおらしく、目を閉じる。
しばらくその顔を見つめ、口元のホクロからあごまでを指でなぞり、時間をかせいだが、仕方なく唇を近づけた。
「ごめんね、蜜、ヤキモチ妬いちゃったよ。なんか二人、すごくピッタリだったから……」
−−ありがとう。その言葉が聞きたかった。
他のライバルを打ち負かす、大きな自信になる。
「このー!かわいいヤツめ!こうしてやるー!」
私は、上機嫌で彼を脱がす。
彼は幸福そうに私の手を、下半身に導いた。
−−もう、ここに住んで三ヶ月。ケーキのロウソクも、三本になった。
彼は家賃とか生活費とか、一切請求してこない。
だから私は、彼をキモチ良くさせてあげる義務があるのだ。
「蜜、オレずっと一緒にいたい……。」
「うん、ずっとね。」
ずっと。
彼は、まだ知らない。
長く記憶の中に留まり続ける『一瞬』よりも短い。
『永遠』という言葉、約束があるという事を。