私の中の眠れるワタシ

取引




大会が近付くにつれ、私とソウタの呼吸は日増しに合っていく。

踊る時に、男性のリードが手元を通して伝わる力を『テンション』というが、ソウタの想いが身体を離した時にも伝わるくらい。私達は心が重なってきた。
テンションが二人で一つのダンスを完成させていく。


……それは、イチヤとの夜にも感じられた事がないくらいの一体感。

目を閉じても、ソウタの存在を感じる。

後はこれで、成績が残ればよいのだが。
でも、その心配はないだろう。

私達が踊り始めれば、誰もが練習を中断し、場所を空けた。

上級生は出ない大会だ。実質、二年生だけの大会とも言える。

一年生にとっては、初めての大会だが、二年生の私達には今後の運命を決める大会でもあった。


「結構、上達したじゃない。」

三年生の先輩が声をかけてくれる。

「はい!私、この先もずっとソウタと踊りたいなぁって!!」

同学年には絶対に言わない本音を、上級生の前では、あどけなくこぼしておく。




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