私の中の眠れるワタシ
「両手で納まるくらいだよ。」
ふーん、と言いながら明るいまま全身をじろじろ眺めまわした。
「……ねえ、ちょっとくらい、暗くしてよ。」
「俺は、明るいところでするのが好きだから。
気になるなら、後ろむいていろよ。」
身体を壁際に移動させ、ワタシの顔を風呂場の壁に押し付け、観念させてしまう。
ソウタはそのまま、風呂場で一度カラダが満たされたら、やっと自由にしてくれた。
「風呂。入ったらすぐベットに来いよ。」
ワタシは、タイルの上に座りこみ、浴槽にもたれかかりぐったりして頷いた。
シャワーを浴びる間、ふとイチヤを思い出した。
今頃、後輩達と飲んでいるんだろうな……
イチヤの顔が、懐かしく遠く感じた。
やっぱり、ワタシはイチヤに相応しくない。
この取引は、あの付き合う事になった日から、前提としてあったのだから。
でも結局、イチヤとも取引の上で今の生活がある事を痛感する。
彼は愛情とともに、あの部屋を提供し、その見返りとして、ワタシとの時間を過ごしているのだ。