私の中の眠れるワタシ

「イチヤ、好きだよ。
だから泣かないで……。」


泣かないでほしかった。
なぜならワタシだって、泣きたかったから。


どうして好きになれないのだろう。
こんなに一途に、思ってくれる人を。



「オレ、信じる事にするよ。蜜の事、信じられるように、強くなる。
情けないね。ごめんな。」


……そうしてくれたら、彼の恋は実るはず。

昔、そんな風に誰かに聞いた気がするもの。


ワタシは、彼にいつもしてあげるように、唇から首筋へキスをした。

イチヤの手は、冷たい。その手を引き寄せ、ワタシの胸元で温めた。


「蜜。蜜がオレと一緒にいない間の時間を全部奪いたい。
なんでこんな風になったんだろ……。オレ、こんな自分が嫌だよ。すごい嫌いなんだ。だけど、蜜は好きでいてくれるか?」

ワタシは、言葉に詰まる。

突然ワタシに覆いかぶさり、今までワタシが温めた手で、ワタシの手首を押さえ付けた。


めちゃくちゃに体中唇を這わす彼にもう、傷つける限界を感じた。

私はワタシの罪悪感のために心の中で涙を流し、彼の心を自由にしてあげたいと、願う。

「オレ、絶対、別れないから……」

まるで、そんな気持ちを見透かすように彼はますます、一つになろうとした。



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