私の中の眠れるワタシ
回数は減った。でも週に一度は必ずソウタから出てこれないかと連絡がくる。
私は、断らない。
彼もまた、ワタシのカレシだ。
しかし、今日の待ち合わせは、いつもと違った。
いつも決まったホテルに、先に着いたほうが電話で部屋の番号を教えてから入室する。
この仕組みで、ソウタと何度も逢瀬を重ねてきたが、その日は喫茶店がいいと言う。
「珍しいね。どうしたの?お茶なんて、部活のときにもできるじゃない。」
「蜜。……俺、もう限界なんだ。」
ソウタが突然、そうきりだす。
ああ、やっぱり。そう思った。彼女が段々気付き始めているのだろう。
イチヤだってそうなんだから、有り得ない話ではない。
「もう会うのやめよっか?私はソウタに、ダンスのパートナーとして選んでもらえるなら、別にどちらでも、いいんだし」
「そうじゃない。」
彼はためらいながら、ついには我慢しきれず、聞く。
「あのさ、お前、今何処に住んでるんだ?」
「どこって……実家に決まってるじゃない。」
「嘘だ。お前、三宅と付き合ってるだろ?」
なんでこの人に、こんな詮索されなくちゃいけないんだろう。
彼氏がいる女は、抱くのに罪悪感があるとでもいうのか。
だったらもう会わない。
だけど、取引は一度成立した。
冬になったら、彼は迷いなく、ワタシを指名する事。
これは重要な条件だった。