私の中の眠れるワタシ
「はあ。そうだったら、なんなのさ。」
少しイラついて、吸っていたタバコをもみ消し、そう答える。
「三宅と別れろよ。」
……わがままにも、ほどがある。パートナーとして選んでもらうためだからって、そこまで私生活を干渉されたくない。
「確かにさ、ワタシ、付き合ってる人はいないってソウタには嘘ついたよ?だけど、そのせいで今まで何か、迷惑かけた?むしろ、都合いいじゃない、ワタシから別れてなんて言わないんだから」
ここまで言って、自分ではっとする。
ソウタは、傷ついたような表情をしていた。
「俺、もう、蜜じゃなきゃだめなんだ。わかってる。こんな気持ちになるつもりじゃ、なかった……。」
ワタシは、なんて答えればよいのかわからない。
意味がわからないフリをする。
「嘘でしょ。どうしてそうなるの……」
ワタシはいつかの日、おめでとう、そしてありがとうと声をかけてきた、かわいらしい彼女を思い出す。
−−大変だったでしょ?ソウタ、わがままだから。
あの時、この言葉の意味を軽んじてた。
わがままだけど、別に困らない。むしろ、身体と引き換えに、パートナーに選んでもらうワタシのほうが、ワガママ。
そう思ってた。
今になって、この言葉のイミをこんなに理解できるなんて。