私の中の眠れるワタシ
「俺、別れる、アイツと。だから、お前も別れてくれ。」
ワタシは何も答えず席をたった。
まだ、コーヒーは半分も飲んでいなかったけど。
その夜から−−
ソウタからのメールが増えた。
ワタシは、イチヤといる間、いつも携帯を見なかったが、近頃は着信音がなるたび、気にしているのはイチヤだった。
「鳴ってるよ、ケータイ。」
「ああ、最近多いの、どうでもいいメールが。」
イチヤは突然、携帯を手にとり、私の目の前でメールを開封する。
「ちょっと、何するの?」
そこにはホントに、なにかのお知らせメールしかなかった。
受信箱を上下にスクロールさせて、名前をチェックしている。
私は何も言わず、その様子を見ていた。
−−どんなに探しても、無駄なのに。
私が、そんな初歩的なミスをするはずはない。
ソウタからのメールは、シークレット機能で見れないようになっていたし、着信音もならないようにしていたから。
イチヤは、疑惑で一杯になった頭を抱えて、
「やっぱりオレ、疑ってるのかな。最低だ、ごめんな、蜜……」
そう言って、ワタシを抱きしめた。