私の中の眠れるワタシ
「私は、もともと、何もないの。」
ソウタは意味がわからないというように、黙っている。
私はタバコに火をつけた。それを見て一緒にソウタも火をつける。
煙が、ゆっくり立ちのぼる。
火葬場で、私の魂まで焼かれて灰になって上がった煙みたいな気がした。
「俺を、とれよ。俺の方を選べ。」
今度は私の方が、意味がわからないように黙る。
「蜜、俺はさ……」
「もう、選んだ。冬になれば私達はパートナーだよ。」
私は言葉を被せた。
「悪かったと思ってる。あんな条件、出すんじゃなかった。傷つけた事、少しずつわかった。」
−−キズナンテ、ツイテナイ。
私は、またはっきりとワタシに入れ代わる瞬間を感じた。
「ワタシの事、ホントにスキ?」
彼はそれに答えず、唇を優しく重ねた。