私の中の眠れるワタシ

その痣を避けるように、ソウタはワタシの身体に新しくシミを重ねていく。

「いたいよ……。ね、やめて。」

優しく、さとすように言っても。
彼にその言葉は届かなかった。

ついには。今まで一度もつけられないようにしてきた、首筋に強く吸い付いた。

「俺、明日からお前と付き合っている事、皆に言うから。
お前はすぐに、アイツの家をでろ。
明日から住むのは、オレの家だ。」

「ちょっと!冗談じゃないよ!そんな事皆にいいふらしたら、ワタシ達、カップル組めなくなるじゃない!」

ワタシは、冷静に頭が働き、彼の思いもよらぬ返答をしてしまったようだ。

「お前、俺の事、なんだと思ってるんだよ……」


完全に彼は狂ってしまった。

動物のように、ひたすらワタシを貫いた。


ワタシは、そうされながらなぜかイチヤを思い出した。


−−ケーキには毎月、一本ずつロウソクを増やしていくんだ。

一年経ったら、十二本。


十二本分の炎、見ることはなくなってしまったな。

……明日で、半分だったのに。


< 231 / 433 >

この作品をシェア

pagetop