私の中の眠れるワタシ
そして私は、うとうとと昼過ぎまで眠り、慌てて夕方のうちに荷物をまとめた。
昼ごろから、ひっきりなしに入るソウタからの連絡を、もうこれ以上無視できなかった。
なぜなら最後のメールは、
『三宅の家まで、迎えに行く』
だったから。
「イチヤ、ありがとう。
イチヤと別れる事じゃなくて、あの日イチヤと始まった事が、運命だったって、私は思ってる。
これからも、仲良くしてね。いつもみたいに。」
本当の気持ちだった。
イチヤは頷いて、
「当たり前だろ?飲み会のリーダーは、オレ達なんだから!」
といって、気の良い友人の顔を作った。
「また明日、部室でね。三宅ちゃん。」
「ああ、明日な。」
彼の手のひらに、鍵を返した。
私は、彼女として握るのは最後になる、イチヤの家のドアノブを回した。
……ワタシは、なんのために、何を捨てたんだろう。
誰のための、カラダなの。
選んだのは、やはり自由?
ソウタを待たせているという思いよりも。
『放浪』という二文字が、頭から離れない。
表に出た時、彼の部屋の窓から、微かにだけど、『DESTINY』が聞こえてきた。
遠ざかり、聞こえなくなるのが、惜しかった。
−−私も大好きな曲だったのに。