私の中の眠れるワタシ
導かれるまま、部屋の奥へと通される。
意外に几帳面だ。それとも、この前までここにいた彼女が、こうしてきたのか。
私は、クッションを抱えて床に座った。
「三宅、俺の事なにか言ってたか?」
「別に、何も。今日の夜から住む場所は聞かれなかった。」
あっそう、という感じで、つまらなそうに二、三度首を縦に振った。
「今日から、毎日ご奉仕してもらうからな。」
私は沈黙する。
「……つか、お前、なんか今、いやらしい事、考えただろ?家事の事だよ!!俺、苦手なんだ。まず、料理作ってくれ。」
私は、彼に料理を作るために、台所に立つ。
彼は、その姿を見つめ、ただ幸せそうだった。
ジャガイモを切りながら思う。
−−彼を好きかは、わからない。でも、必要なのは感じる。
必要という事は、どんな疑問も吹き飛ばしてくれるはず。
中学生時代の交換日記もそうだったし、他にもそう思う事、いっぱいあった。
彼が私を望み、私が彼を選んで、全て順調。
何も、怖い事はない。やはり本当の主導権は、まだ私にあるはずだ。