私の中の眠れるワタシ
「俺、お前にあげようと思って、買ったものあるんだ。」
「へ〜、ちょうだい」
「料理がうまかったら、あげようと思ってたから、ダメだな。」
ソウタは、もったいぶって言った。
「じゃ、食べんな〜!」
私はふてったフリをして皿を持ち上げたら、
「嘘だって。
うまかったよ。……はい、これ。」
笑いながらカバンから、小さな包みを取り出した。
黒い包装紙に金色のリボンがかけられてる。
「これは?開けていいの?」
黙って頷く。
中を開けると……
「あ、これ。見たことある……」
この箱の中身を、私はしっている。
化粧品がたくさん載っている雑誌でみた、その時のイメージが強くて、ずっと気になってた。
「オートリードじゃない!」
それは、GIVENCHYから出した、フレグランスだった。
ビンが、円柱のアイスキューブのようになっていて、プラスチックのキャップの中に炎が閉じ込められてるように見える。
炎の根本は、濃いピンクになっていて、炎の先にむかうにつれて、淡いオレンジに変化していく。
私はビンをまじまじと見つめた。