私の中の眠れるワタシ
大概の人が嫌うクラスの役員も、私は進んで引き受ける。
「めんどくさいから」
が断る理由らしいが、私は一度もそう思った事がない。
なぜなら、クラスの中のたいていのルール、決定事項に、私の意見を大幅に織り込む事が可能だったから。
意見がでなければ、私の意見がクラスの総意となり、一度しかないこのクラスでの行事を、思いのままに動かす事ができた。
クラス委員と、クラス議長を兼任したこの年の春は、ちょうど社会科の歴史で、藤原道長の『摂関政治』を習っていた頃だった。
藤原道長が詠んだ俳句を見たとき。
私は興奮して授業中何度も復唱した。
−−−自分の、思い通りになるこの世界に、終わりがくるような気がしないんだ……
道長がそう耳元で囁いた気がした。