私の中の眠れるワタシ
「いい香りだね。ありがとう、大切にする。」
「大切に、毎日つけろ。その首にも。手にも。」
そう言って、また私の手首を掴み、引き寄せた。
……もう目つきが、変わってる。
私は諦めて口づけを受け入れる。
−−また、始まるんだ。
彼の目は、私の首筋に残る赤い跡に釘づけだ。
今朝まで、自分が何度もつけたもの。
なのに、それにすら嫉妬する。
「これは、三宅がつけたものか?」
「違うでしょ、今朝までソウタが何回も……」
それ以上、私に口を聞かせない。
どちらだって、彼には関係ないのだ。
前日の自分にまで嫉妬する事で、より深く私を愛そうとするのだから。
私は咎めない。
そう、それでいい。
そして、このままここに、ワタシを置いて。
どこにも、もう、帰れない。ワタシの家は、今日からソウタ。