私の中の眠れるワタシ
「いいねぇ!久しぶりとは思えない。二人とも、前よりずっと上達しているのに、全然踊りがバラバラになってないね!!」
こう、声をかけてくれたのは、私が入部当初から憧れ続けた一つ上の先輩、セツナさんだった。
「雪那さん、私おかしいとこありませんでしたか?まだバランスが悪くて足元が安定しない事、多くて……」
「う〜ん、蜜は足首の力が弱いから、ステップが軽く見えちゃう時はあるかな。これ、毎日やるといいよ。」
そういって、つま先でジャンプを始めた。
ダンスは、高いヒールを履くので、足首が弱いとふらついて踊りがしっかりみえない。
セツナさんは、いつも必ず褒めてくれるけど、悪いところもきちんと指摘してくれる。
そして、解決のためのヒントをくれる。
これがないと、上達はできない。
褒められたいけど、直されたいという私の気持ちを、いつもちゃんと汲んでくれた。
セツナさんには、私が求める『華』がある。
人の羨望を集める類の華。
私は、羨望を、集めたい。
その一心で彼女に更なる羨望の眼差しを送る。