私の中の眠れるワタシ

誰にも話す事はなかったが、何度も私と藤原道長が重なる錯覚を覚えた。


私の場合はたかだか、小さなクラス、学校、子供ばかりの、狭い世界の話。

でもそこが今、自分の知り得る、毎日生きている全ての世界で、これだけ思い通りなのだから……


道長の声は、空耳ではないように、思うのだ。



『聞こえますか、道長さん。
物おじしない性格、常に自分の意見を持ち、誰に媚びる事なく、実力と努力で勝ち取る信頼。

女子からは頼られ、男子からは対等に扱われる。

これが、私なんです。』

教科書に蛍光マーカーで印を付けながら、心でそう呟く。
意識的に作りあげたそのキャラクターは、私の狙い通り、最高の居心地、居場所を築いた。




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