私の中の眠れるワタシ

一曲終わって休憩に入るセツナさんの後を追って、タバコを吸いにでた。


「なにか、あったんですか……、谷田さんと」

表現力に感動して、ついからかってしまう。

「まあね。男と、女。ですもの……」

私に合わせて冗談をいうセツナさんに、私はふいてしまった。


「セツナさんって、彼氏いないんですか?」

「彼氏。いらないわ。いくらでもダンスで擬似恋愛できるもん。」

なんとなく、ホントにそうかもしれない気がしてくる。

「じゃ、ずーっと、エッチもご無沙汰ですか。」

「それは、ご想像にお任せするわ……」

その『ご想像』は、容易だった。
セツナさんのダンスを見ていると、うっかり情事の最中を目撃してしまったような恥ずかしさを感じてしまう時がある。

ソウタもそれは、同じように思った事があるらしく、

「セツナさんみたくあんな風に、踊れないのかよ。おまえ、裸も知ってる仲なんだから、俺に恥ずかしい事あるかよ。」

と、私の表現力の拙さを遠回しに責めたりした。



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