私の中の眠れるワタシ

私は、とにもかくにもセツナさんの気をひきたかった。

ありもしない片思いの相談をもちかければ、彼女の恋愛遍歴や思考回路に触れられるかもしれない。

もう、ダンスの相談だけでは物足りなかった。
親密になれる方法は、秘密を打ち明けるという行為にほかならないと、ある日突然思いついた。


ソウタの事は、相談のしようがない。
私達はうまくいってたし、このままでよかった。

ただ彼が、私と同棲しているのに片思いをしているような、切ない表情をするのを見るのが楽しかった。

私のどこを叩いてもホコリはでないため、単なる彼の思い過ごしとして、毎晩処理された。


まさか、今、セツナさんの方に夢中なんて打ち明けても、むしろソウタは笑うだろう。

身体の結び付き以上の鎖なんてないと思っている彼に、何をどう説明すれば、わかってもらえるのか?


いや、わかってもらわなくてよかった。



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