私の中の眠れるワタシ
初めてのセツナさんの家。そして初めての夜。
私は、心の中で渦巻く欲望が見破られやしないかと、注意ぶかく彼女と接した。
今はまだ、早い。
まだ、悟られてしまうには、カノジョの気持ちや状況を知らなすぎる。
今日は、セツナさんともっと深くなるためのステップ。
そう決めて、家までの道のりを彼女の話す事一言も聞き漏らすまいと、歩いた。
「着いたよ。まあ、あまり片付いてないから、誰にも言わないでね。」
私は、この『誰にも言わないで』の響きにうっとりした。
それでつい、
「セツナさんも、今日の事誰にも言わないで下さいね」
と言ってしまったが。
彼女は全くおかしな想像をするわけもなく、
「あー、はいはい。うち、後輩を呼ぶとキリがなくなるからね。ま、内緒でね。」
と、悪戯っ子のようにかわいらしく笑った。