私の中の眠れるワタシ
悪魔
「それで、どうだった?」
セツナさんに聞かれるまで、忘れていた。
「あ、谷田さんの事ですよね……。
谷田さん、彼女やっぱりいました。」
セツナさんはうなだれた。でも、ちょっと微笑んだようにも見えて。少し、ほんの少しだけど。
私の恋が終わった事に安心しているような風にも見えた。
「そうなんだ……。蜜、辛くなかった?」
「ええ、まあ…。だけど、部活の中ではありませんでしたから、顔を合わせる事もないし、平気です。」
「ええ??」
セツナさんは、とても驚いていた。
それに、ワタシ。
ちょっとした悪戯心が働いた。
確実に、セツナさんの心を捕まえて、離したくなかった。
「谷田さん。彼女はいたけど、ワタシの事も好きだって言ってくれて……。
だから、その日限りだったけど、エッチもしちゃったんです。
だから、もう忘れます!」
セツナさんは、絶句していた。
「セツナさん?ワタシもう、大丈夫ですから。」
あっけらかんとそう告げる私に、
「そうなの。よかった。」
彼女は、それだけ言うと、私の前から立ち去った。