私の中の眠れるワタシ
その日。
彼女は一度も踊らなかった。
私はがっかりして、自分のやる気すら減退した。
そんな私の手をソウタは乱暴につかみ、
「おまえさ〜、波あるの、やめてくれない?」
と、無理矢理練習に駆り出された。
谷田さんはいつも通り。
セツナさんが踊ろうとしないので、同じ代の男友達とじゃれていた。
今日は、セツナさんに話しかけられるムードではなかった。
何人かの後輩が話しかけ、いつもと全く違う素っ気ない様子に、すぐその場を離れた。
私はそれを、遠くから見ていた。
セツナさん、どうしたんだろう。話したいな……。
また、ソウタに怒鳴られる。
「いい加減にしろよ!!もうすぐなんだぞ?大会。だいたいいつもお前は……」
説教が始まるが、聞いてなかった。
「ごめん、ちょっと休ませて。休憩、休憩。」
私は、話をさえぎって、休憩に出るセツナさんを追っかけて、練習場を出た。