私の中の眠れるワタシ

セツナさんは、どこにもいなかった。

私は、うろうろと彼女を探したが、ついにその日は練習場に戻らなかった。

練習着のまま、どこかに消えてしまった。

その事に気付いて、残された荷物は谷田さんがまとめて、家に届ける事になった。




私は、なんとなく違和感を感じた。

何かは、まだわからない。だけど滅多に感じない、嫌な予感がした。

もしかして……。もしかして?!


でもすぐに、まさか、と思い直した。
思い直してさらに、やっぱり違うなと確信する。


−−セツナさん。
好きな人はいるような、いないような……と言った。
偽りの、だけど、私の恋を、応援すると言った。
そして、私の事は、きっと。

特別。

−−谷田さん。
彼女は、いるらしい。
だけど、部活の中ではなかったようだ。


−−私。
ソウタにもばれていない。谷田さんの話をしたのは、セツナさんにだけ。
セツナさんが心配してくれたり、他の後輩より目をかけてくれるのが嬉しかった。
確実に、前より親密度は増して、セツナさんの内緒話も、たくさん聞いた。



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