私の中の眠れるワタシ
−−人に、人は許せない。
罰を与える事もできない。
だけど、『許される事』はできる。
心から見る景色を変える事はできる。−−
ワタシは彼らに許される事で、本当の罪がどこにあったかを知る。
それは……
心と身体を切り離し、一人で二つの『私』になっていたことだったと。
一人では、踊れない。
自分を分けて二人になりたくても、なれない。
それに今この場所で、この瞬間気付く事は奇跡だった気がする。
だけど、この奇跡のために私は、たくさんの人の愛情を犠牲にし、最後には、本当に大切なものもなくした。
……そうだ。私に、無くすものなどなかった。
でも、無くす事を恐れていたワタシに、何かを得る可能性も、なかった。
実家を無くしたときに、新しい住み家を得た気がしていたけど。
無くしたわけでなく、逃げたのだ。
ワタシはいつも、誰かの真剣な想いから、逃げた。
私の中のワタシに気付いた事が奇跡でも。
ここにたどり着くまでの運命は、同じ。
彼らが、涙でにじみ、すでにもう見えなくなっていても。
私はこれから、決して絶やす事はないだろう。
私の氷を溶かすための、ワタシの炎を。