私の中の眠れるワタシ

「すぐにつけてみたいの。開けても、いい?」

彼は微笑んで頷き、私の手元を見つめた。





−−嶺とは、友達の家で初めて会った。

「同じ歳とは思えないよ!蜜さんって大人っぽいね!」

老け顔の私は、よく大人っぽいと表現される事が多い。気付かれないようにこっそりムッとした私に、

「あの、あの……すごい色っぽいなって、思っちゃった」

と、すぐに付けたし言い直した。

私だって、同じ歳とは思えないってば……

彼のあどけなく笑う表情は、学生でも通用しそうだった。

「さん付けで名前呼ぶの、やめてくれない?」

あの日の私は、感じが悪かったと思う。

合コンのようなムードの中で、私は誰にでも気を持たせるような事はしない。

むしろ、いつも感じが悪いぐらいだと思う。

少女のような甘い香りを身につける女の子や、誰でも皆持っているような香りをつける女の子達の中で。

私は彼女達と同じように誰からも好かれるような笑顔を顔面に貼り付けておく事ができなかった。



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