私の中の眠れるワタシ

知らない私

レイは、すでにＺＥＮがラストノートに変わる頃には、私の身体の上にいた。


「今日は、このままお風呂入る前に一度しよ？」


本当はちょっとその提案に困ったけど。
私も香りが消えてまたつけ直し、トップノートに戻るのが、もったいなかった。


それにもう、ムスクに酔っていた。


彼から受け取ったムスクを肌にまとっている事に酔っていた。


たくさんのフレグランスをもらってきたけど、こういう幸せや安堵感を受け取った事はなかった。


彼等が悪いわけではなく、相変わらず私が悪かった。

結局、肉体関係を結ばないところにいつも、私の純愛だと思うものがあり、肌を合わせた人に対して、自分の心が本当はないのではないか、常に不安だった。

セツナさん……


彼女の後ろ姿を追う夢を、何度もみた。