私の中の眠れるワタシ

「気持ちい〜い?」

「う〜ん、なんとなく。……あ、そこはイ、イイ……」

長く付き合ううち、私達は家族のように互いの身体をいたわり、健康に気遣う。

アロマテラピーは、英国などでは治療としても用いられ、様々な効能を持つ。


もちろん、苦手な香りもあるから、全ては使わない。

私は、イランイランの香りが好きで、これをよくマッサージやバスルームに用いた。



「これには、どんな効果があるの?」

「……エッチな気分になります。催淫作用だよ……。ヒヒヒ、ヒヒヒ……」


レイはわざとらしく跳び起き、窓を開けにいこうとする。


−−楽しかった。

彼は私の中で、父親であり、兄弟であり、息子であり、旦那様だった。


息子も旦那様も、持った事はないけど、多分こんな感じだろうと、なんとなく思っていた。


私達は、『家族』。


勝手にそんな風な気分でいた。







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