私の中の眠れるワタシ

五月になると、結婚式の招待状がポストに入る事が多かった。

来月か。

私は、友人達や職場の同僚達を祝うため、できる限りかけつけるつもりだ。



今は珍しくもなくなったが、妊娠して結婚が決まる友達もいた。

膨らんだお腹を大切そうにかばい、ケーキにナイフを入れる二人……。

私は写真なんて、撮ラナイ。

だって彼達は、これから先、たくさんの写真付き年賀状を送ってくる事だろうから。

それには毎年、生まれた子供が一歳ずつ大きくなって届くのだろう。

今よりも、来年、来年よりも再来年と彼らは家族を増やし、私に言うはずだ。


「結婚なんてさ、してもそんなに変わらないよ〜?!」

「独身時代に戻りたいわ〜!」

「子供は、かわいいわよ〜!」


一度、家庭を持ったからわかる事だ。

私にはわからないまま、羨ましく微笑むしかない。



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