私の中の眠れるワタシ

私にも、人生を共に過ごしていきたい、大切な人がいる。
もちろん、レイだ。


−−だから、尋ねたのだ。



「ね、レイ。赤ちゃん、欲しくな〜い?」

彼は驚いたように瞳を輝かせ、

「え〜〜?ヤダなぁ、急に、どうしちゃったの?」

と、笑う。

「赤ちゃんだよ〜、赤ちゃん。
この前、高橋のうちに行って、抱っこしたんだよ。そうしたら、すっごくかわいいの!!手も、足も、こ〜んなに小さくてね〜!」

彼はニコニコとして聞いていた。

「そっかそっか、蜜は赤ちゃん欲しくなっちゃったんだね?
でも、俺はまだガキだから、パパにもダーリンにもなれる自信、ないよ〜。」

「そんな事、ないよ?レイはパパにもダーリンにもなれるよ!
結婚、いいなぁ〜。」

私が、ぼぅっと空想している間に。

彼はその後トイレに行ってしばらく帰ってこなかった。

トイレから戻っても、テレビのチャンネルを変えながら、

「次のお休みは、どこ行こっか??」

と、新しくできたロープウェイの話に夢中になった。



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