私の中の眠れるワタシ
あれから、レイが『結婚』にも『赤ちゃん』にも、触れる事はなかった。
私は、内心いつ妊娠してもよかったけど、彼は毎回確実に避妊をしていたし、私も生理が遅れる事はなかった。
−−今年も誕生日がやってくる。
「蜜、もう俺と付き合ってから、二つもトシ、とったんだね〜?!
会った頃は、ピチピチの綺麗なお姉さん〜って感じだったけどね。」
「じゃ、今はなによっ」
「ピチピチの綺麗なおばさん〜?!」
もう!と、私は笑ったけど。
『おばさん』という言葉が妙にせつなくて、今年こそ彼は……
と祈る。
「おばさんになっちゃう前に、ドレス着たいな!」
「ダンスやってた頃、いっぱい着たんでしょ〜?」
彼にはぐらかされているような気がして、私は笑顔を作れなくなっていく。