私の中の眠れるワタシ
「蜜の身体が傷ついてしまう事をするなんて、俺、最低だよ、ホントに最低だ。」
−−傷ナンテ、ツカナイ。
だって身体を捧げる痛みだけじゃなくて、新しいものを与えられる喜びだって、あるじゃない。
「ごめんね、蜜。子供はあきらめてほしい。」
−−ドウシテ。私ト、レイノ赤ちゃんナノニ。
ほんの『出来心』だった。
彼がもし、赤ちゃんを授かったと知ったら、喜ぶはずと信じてた。
ホントは、子供なんて、できていない。
彼の言うとおり、気をつけてきたもの。
「う、嘘だよ。嘘。びっくりした??」
私は、泣きたい気持ちを早く『今』という瞬間に置いて、逃げたかった。
泣いたレイを見て、笑って笑って、笑った。
「蜜、ひどいよ。俺、本気で心配したよ。なんでそんな嘘つくの!?」
彼も傷ついた心を、ここに置いて、逃げたかったんだろう。
傷ついた、ワタシをも置いて。