私の中の眠れるワタシ
−−街を出る日。
レイは、見送りにきてくれた。
情けないけど私はまだ、彼がもしかしたら今、指輪なんかをポケットに入れてて、いつ渡そうか考えているのかもしれないなんて、本気で考えていた。
彼は、手を繋ぎながら、
「もう、会えないんだね。」
と、呟く。
私は、
「そうなの?そんなに遠くないけどね〜。」
と笑った。
距離の問題じゃないことはわかってたけど、彼が冗談でも
「じゃ、会いに行っちゃおっかな〜!」
と言うのを期待シテタ。
彼はそんな性格の私を知ってるから、あえてそんな事言わなかった。
繋いでいた手を強く握って、風邪ひくなよとか、ダイエットはほどほどにとか、忠告ばかり繰り返した。
私も彼に、今言った事全部レイも気をつけてね、と答えるだけで精一杯だった。