私の中の眠れるワタシ
出会ったばかりの頃、彼はよく店にきて、接客が終わった後や、店舗管理を任されているところを見て私に、
「蜜って、カッコイイ!なんていうか、憧れちゃうよ〜!」
と、言っていた。
私は、聞こえないフリをして、ありがとうも言わなかったが、あれは本当に。
……礼を言わなくて、よかったのかもしれない。
彼は、私に憧れを通り超して、むしろ『嫉妬』していたのだ。
そして。
『嫉妬せざるを得ない。
そういう私だから、好き。』
私の仕事の話が大好きで、会議に出るときだけスーツを着たけど、そんな日彼は、必ず外食に連れて行ってくれた。
私を連れて、夜の街を歩きたがった。
−−だから。
家の中で、ごろ寝している私なんて、見たくない。
妊娠中に、つわりで寝込むところも。
子供が生まれて、三〜四時間のパートに出る私も。
見たくなんてなかった。