私の中の眠れるワタシ

私達が初めて出会ったあの日。

彼とワタシは、『キャバレー』という香りの糸で繋がっていた。

それまでのグレとは違い、ボトルデザインは燃えるようなレッド。

ダンサーのウエストがイメージされた、くびれたデザイン。

美しさと完璧を追求する、ショーのマジックをイメージした、フローラルウッディの官能的な香り。

華やかな世界の女性を表現した、魅惑的、幻想的なイメージ。


様々な香りに慣れていた私でも、飽きのこない濃厚だけど使いやすい香りだった。



−−私は、あらためて私に求められていたものが、キャバレーの世界観のような……

『美しさと完璧』だったのだと思い知る。



ENVYの香りに包まれながら。

長方形の立方体みたいなこの形のビンが、私の棺桶に感じた。



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